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え~と、マイクまだ切り替わってなかったんだけど・・・。しかも、自分がカットされたシーンの事話してないし・・・。
あっ、すいません。ボク、菊地真ですっ!
フラットⅢのメンバーの中で一番の攻撃力と防御力を誇る『まな板ブラック』こと『黒澤真』役をやってますっ。
ボクがご紹介するシーンは、演じている黒澤真ことまな板ブラックの必殺技『一撃必殺』を強化する精神修行編で、雪歩と一緒にやっています。
12話では、東京タワーを電波ジャックした悪役メンバー5人が宣戦布告したシーンとそこから3日後・タイムリミット4日前の間にカットされたシーンになります。
ちなみに、千早も同じ場所になります。
それでは、どうぞっ!


奈夢子高校
次の日の放課後、高校からは沢山の学生が正門から出てきていた。
その中に、真と雪歩の姿もあった。
「ねえ、雪歩。精神集中って言ったら何を思い起こすかな?」
「精神集中???う~ん、座禅とか、そこから連想する、お寺とか・・・かなぁ?」
「なるほど、座禅かぁ・・・。」
真は雪歩の言葉を聞いて、腕を組んで考えながら歩いていた。
「あのさ、その座禅を出来る場所を知らないかな?」
「座禅をする場所ぉ?」
「うん、どこかお寺とか知らないかなと思ってね。」
「確かお父さんの知り合いに住職さんがいたから頼んでみるぅ?」
「うんっ、お願いしても良いかな?」
「いいよ、えっと、いつが良いのかなぁ?」
雪歩は携帯を出しながら聞いた。
「出来るだけ早くが良いかな。出来るなら今からでも。」
「ふええっ!?今からぁ?き、聞いてみるねぇ。」
慌てながらも雪歩は早速携帯を掛け始めた。

『興福寺(こうふくじ)』
「ひゃ~、でっかいお寺だねえ・・・。」
真は入口の門から本堂を見上げて驚いていた。
「はぁ・・・はぁ・・・。真ちゃん・・・まってぇ・・・。」
雪歩は石段のずっと下の方で、息を切らしてヨロヨロしながら言っていた。
「あっ、ごめん、ごめん。はい、おんぶするから乗って。」
「えっ?いいのぉ?」
「うん、ほら。」
謝りながらすぐに駆け降りた真は、雪歩の前でしゃがんで背中を見せた。
「それじゃあ、おじゃましま~すぅ。」
「落ちないように、しっかり捕まっててね。よっ、はっ、っと。」
真はそう言うと雪歩をおんぶして軽々と石段の一番上までやって来た。
(えへへ、役得ですぅ。)
雪歩は少し強めに真にしがみつきながら、ニコニコしていた。
「よっと。じゃあ、雪歩行こう。中での挨拶はお願い。」
門に入る前で、真は雪歩を降ろしながら言った。
「うん。行こう、真ちゃん。」
「うんっ!」
2人は仲良く手を繋ぎながら、境内へと入っていった。
「あれ?誰も居ないね?」
「おかしいなぁ?お父さんが連絡して話は通ってるはずなんだけどぉ?」
がらんとして、人影がなかったので、真と雪歩はキョロキョロしながら本堂の方へ歩いていった。
「何か御用ですかな?」
「きゃっ!?」
「誰だっ!?」
(気配がしなかった!?)
2人が本堂に近付くと急に後ろから声がして、驚いた雪歩は飛び上がって、その雪歩をかばうように真は回り込んで、厳しい表情になって言った。
「はっはっは、ここの住職ですよ。驚いているのが堀雪歩殿で、勇ましい貴方が黒澤真殿かな?」
「は、はいぃ。」
「はい、すっ、すいません。」
住職に聞かれた、雪歩と真はぺこぺこしながら答えていた。
「お話は聞いています。少しお2人を試すためにそーっと近付いたのですが、気が付かれなかったようですね。」
「え~とぉ、私はそういうのは苦手なんでぇ・・・。」
雪歩は苦笑いしながら答えていた。
「ボク、全く気が付きませんでした・・・。あちこち見てたはずなのに・・・。」
対照的に、真は悔しそうに拳を握りながら言っていた。
「ふむ、真殿からは大きな気を発散しているのを感じますが、かなりムラがあるようですね。」
「わかるんですかぁ!?」
雪歩は口に手を当てながら驚いていた。
(この人なら、きっとボクが求めている答えを出してくれるっ!)
「お願いしますっ!ボクに力を貸して下さいっ!」
真はその場で土下座して頼んだ。
「ま、真ちゃん!?」
「まあまあ、真殿。貴方の様な方が易々と土下座などしないことです。いざという時にしなければ貴方の価値を落とすだけですから。さあ、お立ちなさい。」
真の行動に、更に驚いている雪歩の言葉を聞いてから、住職は言いながらゆっくりしゃがんで真の手を取って立たせた。
「すいません、ボクにはこういうことしか出来なくて・・・。お願いしますっ!」
真は頭を上げずに、住職へ深々と頭を更に下げてお願いした。
「あのぉ、えっとぉ、私からもお願いしますぅ。」
慌てて雪歩の方も深々と頭を下げてお願いした。
「雪歩殿のお父上のお願いでもありますし、私に出来る事は致しますが、最期は自分自身だという事をゆめゆめお忘れなき様。」
「はいっ!ありがとうございますっ!宜しくお願いしますっ!」
住職の言葉に一旦顔を上げてから、真は改めて頭を下げて言った。
「え、え~とぉ?私もですかぁ?」
頭を上げた雪歩は、そんな真を見て、困った顔になりながら住職に聞いた。
「お一人帰られても構いませんが、真殿のお力になりたいのなら、多少なりともその方が宜しいかと?」
「宜しくお願いしますぅ!」
にこやかに言う住職の言葉に、雪歩も頭を下げて元気良く言った。

真は学校を休んで、泊り込みで禅の修行を続けて数日が経っていた。
雪歩も泊まると言っていたが、真から言われて、渋々学校帰りにだけ来て一緒に禅をやっていた。
「真殿、無我の境地に達すれば、自ずと今まで見えなかったものも心の目で見ることが出来るようになるでしょう。余計な力を抜き、余計な考えを捨てるのです。」
「はい・・・。」
夕焼けの中、住職の言葉に真は静かに答えると目を閉じた。
その隣には雪歩が居た。
(はぅう・・・真ちゃんカッコ良過ぎですぅ。)
へにょへにょ~んとなった雪歩は、凛々しくも静かに目を閉じている真の横顔を見て身悶えていた。
「雪歩殿も目を閉じるように・・・。」
「えっ!?あっ、はっ、はいぃ。」
住職に言われて、ハッと我に返った雪歩は慌てて目を閉じた。
バシッ!ビビクッ
少しして、真の肩が叩かれると、その音にびっくりして雪歩が過剰に反応する。そして、そ~っと雪歩は薄目を開けて真を見た。
差し込む夕日に照らされている真の横顔は、今までにないとても穏やかな顔をしていた。
「あのぉ・・・真ちゃん・・・だよねぇ?」
雪歩は、そこに居るのが真なのかどうか分からなくなって、思わず話しかけてしまっていた。
「うん?ボクはボクだよ。どうしたの雪歩?」
真は片目だけ開けて、不思議そうに聞いた。
「そ、そうだよねぇ・・・。えへへへ~。」
(はうぅん、いつもの凛々しい真ちゃんもいいけどぉ、今のこの純粋で穏やかな感じの真ちゃんもすっごく良いですぅ・・・。)
雪歩はだらしない顔になって、笑っていた。
「煩悩退散っ!喝っ!」
バシッ!
「ひゃうあっ!?」
くねくねしている雪歩の肩に容赦ない住職の喝の棒が振り下ろされていた。雪歩の方は慌ててワタワタして正座し直して目を閉じた。
「ふふっ。」
それを見て、真は穏やかに笑っていた。

「えぇっ!?落下差異50メートルの滝行ですかぁっ!?」
雪歩は驚いていて目を見開きながら言っていた。
「はい、最後の仕上げの修行になります。これが上手く行けば、真殿の精神統一の修行は完了です。」
「ボク、やりますっ!」
「真ちゃん!?」
「大丈夫だよ、雪歩。みんなも待ってる。ここまで来て後戻りは出来ない。分ってくれるよね?」
「ぅ・・・ん・・・。」
(真ちゃんの真剣な眼差しがこんなにアップで、手をギュって握られてて、台詞と一緒に吐息もこんなに熱く感じて・・・。もう、何も考えられないですぅ。)
「ま・・こと・・・ちゃん。私とぉ・・・けっこ・・・。」
「では参りましょう、真殿。」
「はいっ!」
「あれれっ!?」
住職の言葉と真の返事で我に返った雪歩は、目の前に誰もいないことに気が付いて目をぱちくりしていた。
ドドドドド・・・
「こ、こんなにすごい滝ありましたっけぇ?」
「なんか言った雪歩!?」
「真ちゃん、なんて言ったのぉ?」
水しぶきと物凄い音で、大きな声で言い合っていた雪歩と真だったが、双方全く聞こえていなかった。
「真殿はあの滝の下へ、雪歩殿はあの横にある小さな滝でそれぞれ1時間身を清めていれば、おのずと分かるはずです。
「はい・・・。」
(何で住職様の声はこの音の中で聞こえるんだろう?)
真は不思議に思いながら返事をしていた。
「住職さん!何を言ってるのか、全然聞こえないですぅ!」
雪歩の方は半泣きになりながら、叫んでいた。
真はそのまま一人で歩いて行って、雪歩の方は住職に伴われて横にある小さな滝の方へ移動した。
「うわっ!」
(すごい水圧だ!危なかった・・・。気を抜いたら滝つぼに落ちる・・・。)
水圧でバランスを一瞬崩した真は、持ち直した後、滝つぼを見ながら険しい表情になっていた。
「もう、聞こえますか、雪歩殿?」
「はいぃ、さっきの場所では水の音以外、何にも聞こえませんでしたぁ。こっちは随分違うんですねぇ。」
住職に聞かれて、さっきまでが嘘の様にちゃんと聞こえていた雪歩は感心したように言っていた。
「宜しいですか、雪歩殿。ここでも、気を抜いたら滝つぼに落ちてしまいますからね。くれぐれも気を付けて下さい。」
「はっ、はひぃ・・・。」
さっきまで笑っていた住職が急に真剣な表情になって言う言葉に、雪歩は滝つぼを見てから引きつった顔で答えていた。
「では、私は後ほど参りますので・・・。」
再び笑顔に戻った住職は静かに言うと雪歩から離れて行った。
(不思議だ・・・。さっきまで感じていた水圧の重さが嘘みたいに無くなっていく。こんなの初めてだ。)
真は目を閉じながら、不思議な感覚に自分で驚いていた。
「真ちゃんも頑張ってるんだから、私も頑張らないとぉ!」
雪歩はチラッと目を閉じている真を見てから、気合を入れると自分も目を閉じた。

(雪歩がいる場所が、目を閉じていても分かる!?住職様も少し離れた所からこちらを見てる・・・。落ちてくる滝が圧力じゃなくて、心地よく感じる・・・。)
真は驚きながらも、更に深い境地へと入り込んで行っていた。
「う~ん、う~ん・・・。」
一方雪歩の方は、さっきから真の姿がちらついていて、全く集中出来ていなかった。
(凛々しい真ちゃんはいっぱい見てきたけど、最近見ている新しい真ちゃんがもうなんていうかぁ・・・えへへへ~。)
唸っていた雪歩だったが、思わずその場でにへらっとしてしまう。
「真ちゃんどうしてるかなぁ・・・。」
雪歩は片目だけ開けて、真の方を見た。
「あれ?真ちゃん?いないっ!?」
驚いた雪歩は両目を開けてから、目を細めて身を乗り出した。
「あれれぇっ!?」
雪歩はいつの間にか、自分から滝つぼに飛び込むような体勢になっていて、自然落下した。
「キャーーッ!」
どっぽーん!
「雪歩っ!?」
悲鳴を聞いた真は、パチッと目を開けてから声のした方を見ると、雪歩が滝つぼに飲まれそうになっていた。
「雪歩ぉぉおーーっ!!!」
真は叫びながら迷わず滝つぼに飛び込んだ。そして、複雑で凄まじい水流の中泳いで行って雪歩が沈みかけているのを救い出した。
「雪歩!雪歩っ!大丈夫っ!」
「真ちゃん、ごめんね・・・。えへへ、落ちちゃった。何か冷たくて気持ち良くて・・・眠くなってきちゃった・・・。」
必死に言う真に、雪歩は謝りながら弱々しく笑って言っていた。
「しっかり!」
「あれぇ?真ちゃん、上から何か落ちてくるよぉ?」
真が少し揺すりながら言うと、ちょうど上を向いてる形になっていた雪歩が不思議そうに言った。
「上?うわぁっ!?岩だっ!!!」
「ふぇぇ、ごめんなさぁい・・・ひっく・・・わらひのせいれぇ・・・。」
直径5メートルはあろうかという岩が振ってくるのを見て驚く真の腕の中で、雪歩は泣きながら謝っていた。
「雪歩、泣かないで。大丈夫、ボクが何とかするから、ね?」
「ふぇ・・・ぅ・・・うん・・・。」
真剣な真の表情と言葉に、雪歩は泣き止んで静かに頷いた。
(今は立ち泳ぎで、足場がない。つまり踏ん張れない。だけど、集中して一点を突いて真っ二つに出来れば助かる!)
「すぅ~はぁ~・・・全てを一点にっ!一撃必殺っ!!!」
真がその場で、右手の拳を突き上げると、その直線状の部分だけ滝が割れて、岩に1メートル半くらいの拳型がついて、粉々に砕け散って、滝が元に戻ると同時に周囲へ飛び散った。
「す、すごい・・・ですぅ・・・。」
その様子を見ていた雪歩は、眠かったのが嘘のように目を真ん丸く見開いて驚いていた。
「やっ・・・た・・・。」
真の方はその様子を確認すると、気絶してしまい突き上げていた右腕がカクンとなって、どんどん沈んでいく。
「真ちゃん?真ちゃんっ!?しっかり、ねえ?真ちゃ~んっ!!!」
今度は雪歩の方が揺さぶったが、真は全く反応せずどんどん沈んでいく。
「いやぁぁあああっ!!!」
雪歩が泣き叫ぶと、右手に小さなスコップが現れる。それと同時に滝つぼから竜巻が起こって滝の水も一緒に水が一気に天に向かって螺旋を描いて行った。
「全てを飲み込む場から、落ちるしかない滝をも逆流させ、天をも突き抜けるように登っていく水の軌跡・・・。」
住職は少し離れた所で、見上げながら呟いていた。
滝つぼに全く水が無くなっていて、足場の悪い中、雪歩が必死に気絶した真を泣きながら運んでいた。そして、雪歩も力尽きて途中で倒れてしまった。その時偶然なのか、真の方が下になって雪歩を受け止める格好になっていた。
少しして、一気に水が降って来て滝つぼがいっぱいになって、重なり合うように倒れている2人の足元に水面が揺れていた。

「はっ!?」
真がガバッと起きると、本堂だった。
「気が付いたようですね。」
「住職様、雪歩は!?」
「隣に寝ていますよ。」
「良かった・・・。」
慌てて聞いた真は住職の言葉を聞いて、すぐ横を見ると雪歩が静かに寝息を立てていた。
「色々問題はあったようですが、どうやら、全て上手く行ったようですね。」
「どうなんでしょうか・・・。ボク、雪歩を助たいって気持ち精一杯で、正直、殆どおぼえてないんです。」
真は苦笑いしながら、正直に答えていた。
「そうですか。でも、滝行から得られたものもあったと思います。それと、誰かを助けたい、守りたいという気持ちが、真殿を強くするのだと思います。」
「はい。滝行はとてもためになりました。後は、その気持ちがボクの根本にありますから、それが無意識に出たんだと思います。」
「これにて、修行は終了です。今日はゆっくり休んで、明日帰ると良いでしょう。」
「ありがとうございました。」
住職の言葉に、真は正座し直してから、深々と頭を下げた。
「後は、雪歩殿に感謝なさる事です。」
「はい。」
真は住職の言葉を聞いて、静かに頷いた。

「んぅ~?あれぇ?なんだろぉ?」
雪歩は目を覚まして、自分の上に何かが乗っているのに気が付いて、寝ぼけ眼でそっちを見た。
(ま、ま、ま、真ちゃん!?)
ジタバタしようとした瞬間、右手が繋がれている事に気が付いて、雪歩は器用に左手だけでワタワタしていた。
(覆いかぶさってるぅ!可愛い寝顔で、すぅすぅしてる息が胸元にかかってくすぐったいですぅ!はっ!これってもしかしてチャンスですかぁ?)
雪歩はドキドキしながら少し起き上がる格好になって、真の寝顔に自分の顔を近づけて行った。
(後、ちょっとぉ、もう少しですぅ・・・。)
顔が間近になって、雪歩は唇を突き出した。
「う~ん・・・雪歩ぉ~。」
ビビクゥッ!
「っ!?」
(危ないですぅっ!声が出ちゃいそうでしたぁ!)
「んぅ~・・・。」
雪歩は驚いて器用に仰け反って驚いたけれど、再度ドキドキしながら顔を近づけて、今度は目を閉じた。
「助けてくれて・・・ありがとう・・・ゆき・・ほ・・・。」
ピタッ
本当に後一歩というところで、雪歩は固まって目を開けた。
(あああぁぁぁっ!?私のバカバカバカ~!!!真ちゃんは真剣に、命がけで私を助けてくれたのにぃ!)
雪歩は、顔を離して左手で自分の頭を叩いていた。
「雪歩?何やってるの?」
「ひぅぁぁっ!?!?」
突然真の声がして思いっきり慌てた雪歩は、物凄い勢いで繋いでいた右手も離して、本堂の端まで凄まじい勢いで一気に移動して行った。
「えっ?なに?なにっ?ど、どうしたの???」
真は余りに様子の変な雪歩に驚いて、周りをキョロキョロしながら言っていた。
「な、な、な、な、なんでもないのぉっ!」
両手でブンブンやりながら、真っ赤な顔をして雪歩は言っていた。
「そ、そうなの???」
真は雪歩の様子がおかしいので、目をぱちくりしていた。

「お世話になりました。」
「なりましたぁ。」
次の日の朝、真と雪歩は、入口の門の前で住職に頭を下げながら言っていた。
「いえいえ、何もかもがご自身の頑張りですからね。真殿が守りたいものの元へ戻って下さい。そして、ここでのことが少しでもお役に立てることを祈っています。」
「ありがとうございます。ボク、頑張りますっ!」
真は笑顔になって答えた。
「お行きなさい、真殿。」
「はいっ!」
元気よく返事をすると、真は嬉しそうに石段を降りて行った。
「住職さん、色々ありがとうございましたぁ。」
「いえいえ。雪歩殿、貴方は煩悩の塊であり、ここでの修行が役に立ったかははなはだ疑問です。」
「はうぅっ!」
住職の直球の意見に、雪歩は思わず涙目になって仰け反っていた。
「ですが、貴方が真殿を思う気持ちは良く分かりました。その想いがよこしまだとしても、真殿を助けた時の貴方の気持ちは何よりも純粋だったと思います。」
「えっ!?それって、み、見てたんですかぁ!?」
雪歩はオロオロしながら聞いていた。
「これからも、真殿を支え続けていくことが、良かれ悪かれ雪歩殿の役目なのだと私は思います。他言無用は重々心得ていますから安心して下さい。」
「はぁ、よかったぁ・・・。」
雪歩はホッとして胸を撫で下ろしていた。
「さあ、雪歩殿。真殿が待っています。」
「はいぃ、ありがとうございましたぁ。」
ぺこりと頭を下げると、雪歩は石段の途中にいる真の元へ駆け出して、見事に足を踏み外して宙を舞った。
「きゃぁっ!?」
「よっ、っと。雪歩、大丈夫かい?」
「うん・・・。」
(真ちゃん大好きっ!)
お姫様抱っこの体勢で受け止めてくれた真の顔を少し赤くなりながら雪歩は静かに頷いた。
「よ~し、このままみんなのところまで行くよっ!」
「ふぇぇっ!?そっ、それは駄目ですぅ!途中で降ろしてぇ~!」
(本当に、何度も助けてくれて、ありがとう、雪歩・・・。)
内心でお礼を言いながら、慌てる雪歩を真は悪戯っぽい笑顔で見ていた。


はいっ、どうでしたか?ボクの修行というよりも雪歩の方が目立っていたかなあとも思いますけど、この修行の成果で、集中力を得たボク『まな板ブラック』は一撃必殺をパワーアップする事に成功しました。
え?CGですか?一切使ってま・・・はっ!?ええ、そ、そうですね。こう、うま~く合成できたんじゃないかなあって思います。あははっ。
そ、それじゃあ、次はやよいです。よろしくねっ!

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