『俎板戦隊フラットV』12話「新必殺技完成!」未公開シーン(前編)

皆様、こんにちは。秋月律子です。
今回は、俎板戦隊フラットV12話『新必殺技完成!』の番組ではお送りし切れなかった未公開シーンや、NGシーンなどをお送りします。
後からシーン紹介などで私以外の出演者も登場しますのでお楽しみ下さい。

私は劇中で『秋葉原律子』と『魔女アキバラン』の2役をやらせて頂いています。まず私からご紹介するのは、初めてフラットVに勝利した悪のビッグ3とヒビッキー、そして私が演じるアキバランが勝利の祝杯をあげるために買い物しているカットされたシーンです。それでは、どうぞ。


スーパー『ナムコヤ』
「特売シスターズも来なかったし、オードブルは何の問題もなかった。私の200円分は何にしようか・・・。」
アキバランは特売のオードブルの丸い入れ物を持ちながら、周りを見渡していた。
(カフェオレ・・・。)
ふと思いついて売り場へ向かった。


「う〜ん、200円かあ。おにぎりだと2個買えるかどうかなの。イチゴババロワだと一パックなの。でも、せっかくのお祝いだからちょっと変わったものにしたいかな。困ったの〜。」

華女ビセイはスーパーをウロウロしながら困っていた。
「どうした?ビセイ?」そんなビセイに気が付いた獣司ヒビッキーが声を掛けた。
「ん?ヒビッキー。ビセイ何にしようか悩んでるの。ヒビッキーは決まったの?」
「うん。自分はコレだぞっ!」

ビセイに聞かれたヒビッキーは紅茶のティーパックのセットを右手で差し出した。
「ふ〜ん。ヒビッキーって紅茶好きなの?」
「甘くて冷たいのが好きだぞ。それに、今回はお試し用としてガムシロップが1袋ついて来るんだ。」
ヒビッキーは答えながら左手でガムシロップの袋を出す。
「飲み物かあ。ビセイ、キャラメルマキアートが飲みたいけど、コーヒーと牛乳の2つは買えないし、何より作る機械がないの。」
「そうか。それは残念だ。紅茶で良ければ、ティーパックはいっぱいあるから牛乳があればミルクティーは作れる。」
「じゃあ、ビセイ牛乳買うから、ティーパックくれる?」
「うん、良いよ。」
「ホントっ!?決まりなの〜。牛乳売ってる所に行くの〜。」
ビセイはニコニコしながらヒビッキーと腕を組んで牛乳の売っている場所へと移動していった。

「あら〜、ずいぶん沢山あるのね〜。」
カップラーメンの売り場に来ていた妖姫チチゲルゲは驚き半分、感心半分といった感じだった。
「ええ。本日は200円と言う設定ですので、いつもの袋入りのものを一気に超えて高いカップらあめんを買うことが出来ます。」
一緒に来ていた麗将ジョウネはうっとりした表情で言っていた。
「袋の塩ラーメンも美味しいと思うけれど、そんなに違うものなの〜?」
「はい。麺から違いますし、ただの『かやく』ではなくしっかりした『具材』になっています。すうぷもレベルが違うのです。」
不思議そうに聞くチチゲルゲにジョウネの方はいつに無く熱く語る。
「そうなのね〜。そうしたら、選び終わるまで待っているわね〜。」
「チチゲルゲは買うものを決めているのですか?」
「ジョウネに連れてこられる前に、目星はつけてあるから、後で一緒に探してくれれば構わないわ〜。」
ジョウネに聞かれて、チチゲルゲはニコニコしながら答える。
「そうですか。それでは、すいませんが選ばせて貰います。」
チチゲルゲの返事を聞くと、ジョウネは真剣な表情でカップラーメンの棚を見始めた。

アキバランはカフェオレが売っている場所へ来たが見事に売り切れていた。
「くぅ・・・。」
悔しそうにアキバランは唇を噛んだ。
「あれ?アキバランなの?」
「そうだな。オードブルは持っているけど、なんか様子が変だ。行ってみよう。」
牛乳の売っている場所の前で立ち尽くしているアキバランに気が付いたビセイとヒビッキーは言い合いながら近付いていった。
「ねえ、アキバラン。どうしたの?」
「はい?こっ、これはビセイ様。いえ、買おうと思っていたものが売り切れていたもので、見苦しいところをお見せして申し訳ございません。」
ビセイに声を掛けられたアキバランはかしこまって答えていた。
「アキバランは何を買おうと思ってたんだ?」
「私はカフェオレをと思っていたのだけれど残念ながら・・・。」
ビセイの隣に居るヒビッキーに聞かれて、アキバランは本当に残念そうに答えた。
「カフェオレ?ん〜、そうなのっ!だったらアキバランコーヒー買うの。」
ビセイは思いついたようにポンと手くぉ叩いてニコニコしながら言った。
「はあ?コーヒーをですか???」
良く分からないアキバランは不思議そうに聞き返していた。
「そうか。ビセイは牛乳を買おうと思っていたから、コーヒーがあればカフェオレを作れる。そういう事だなビセイ?」
「うんっ!ピンポーンなの。ねえ、アキバラン、その代わりお願いがあるの〜。」
喜んで答えた後、ビセイはアキバランに上目遣いでお伺いを立てた。
「はい、何でしょうか?私に出来る事ならば何でも構いませんが?」
「アキバランはキャラメルマキアート作れる?」
「ええ、まあ。材料があれば出来ますが?シロップが足りないですかね・・・。」
「ほい、シロップ。」
答えて、ちょっと考えているアキバランの目の前にヒビッキーがガムシロップの袋を出す。
「どう?」
「ビセイ様のお好みの味を出せるかは分かりませんが、材料はありますから作れます。
「やったの〜!」
「良かったなビセイ。アキバランもカフェオレが飲めるしコレで解決だな。」
喜んでいるビセイの横でヒビッキーはウンウンと頷きながら言っていた。

「それで、チチゲルゲが目星をつけていたものはなんなのです?」
カップラーメンを厳選した後、ジョウネはチチゲルゲに聞いた。
「ワゴンセールのシャンパンです〜。処分品みたいで198円だったか、98円だったのよね〜。」
「他のものでなくて良いのですか?」
思い出すようにいうチチゲルゲにジョウネは聞いた。
「みんなのお陰で勝てたわけだし〜、お祝いで喜んだ顔が見れれば私は満足よ〜。」
「そう・・・ですか。やはり、チチゲルゲには敵いませんね。」
チチゲルゲの言葉を聞いて驚いた後、苦い顔をしてジョウネが呟いた。
「うふふ〜、そんな事は無いわよ〜。確かパン売り場の横のワゴンだったと思うわ。案内してくれるかしら〜?」
「ええ。喜んで。」
少し笑いながらチチゲルゲが差し出した手をジョウネはそっと取ってから歩き始めた。

「これですね。」
「そうそう、これね〜。え〜と、98円なのね〜。賞味期限は・・・大丈夫ね〜。3本あるのね〜。」
すぐにパン売り場の横にあるワゴンに到着して、ジョウネとチチゲルゲはシャンパンのビンを持って確かめていた。
「470ミリリットルね〜。オマケのマグカップに分けて入れるには2本だとちょっと寂しいかしら〜?」
「1人1杯200ミリリットル弱ですね。少し少なめですが問題ないと思います。」
チチゲルゲに聞かれて、ジョウネは計算してマグカップを思い出しながら答えた。
「1本だけ残って処分されてしまうのも忍びないわね〜。店長さ〜ん。」
チチゲルゲはちょっとうなってから、近くを通りかかった店長を呼び止めた。
「はい!毎度ありがとうございます。どうなさいましたが?チチゲルゲさん?」
呼ばれた店長は不思議そうに聞き返す。
「あの〜、これ処分品みたいだけれど〜。まとめて買うから3本で200円にしてくれないかしら〜?」
チチゲルゲはシャンパンを見せながら聞いた。本人は意識していないが、妖しい微笑とそのナイスバディの胸が揺れたりしていた。
「えっと、あ、い、良いですよ。ずっと売れ残ってて困っていたんですよ。あはははっ、ちょっと待ってて下さいね。価格変更のバーコードシール持ってきますので。」
店長は雰囲気に飲まれてポワ〜ンとなっていたが、ハッと我に返って誤魔化すように笑って店の奥へと走って行った。
「うふふ〜。いい人ね〜。」
「やはり、貴女には敵いません・・・。」
ニコニコ笑って見送っているチチゲルゲを見て、ジョウネは何とも複雑な表情で呟いていた。

「では、確認させて頂きます。」
冷凍食品売り場で集合した後、アキバランがかごの中身を見ながら言う。
「まず最初に、特売のオードブル780円はこの通りです。」
ハチパチパチ
全員から拍手が送られて、アキバランは恐縮して頭を下げる。
「カップラーメンの『北海道がっつり味噌らあめん』はどなたでしょう?」
「はい。私ですわ。値段は定価298円が特売で178円です。問題ありません。」
ジョウネはしっかりと言った。
「かしこまりましたジョウネ様。次にシャンパン3本はどなたでしょう?」
「は〜い。私よ〜。98円の値札が目立つけど、上に張って貰ったバーコードで3本200円になっているから安心してね〜。」
少し遅れてチチゲルゲが説明する。
「なるほど。では、この紅茶のティーパックはどなたでしょう?」
「自分だっ!20パックのセットでガムシロップ1袋つき。値段は198円だぞっ!」
ヒビッキーがすっと手を上げて短く的確にいう。
「次はこの『とかちやかん牛乳』はどなたでしょう?」
「は〜い、ビセイなの。値段は通常198円が今日はチラシの商品で168円なの。」
ビセイがチラシを見せながら答える。
「最後にこのコーヒーのペットボトルですが、私で交渉の末、2本で198円にして貰いました。」
「鬼の仕入れ田所さんから値引きさせたのには、ビセイ驚いたの!」
「なんと!あの田所さんからですか!?」
「それは凄いわ〜。」
ビセイの言葉に、ジョウネもチチゲルゲも驚いていた。
「やっぱり、周りの人間の反応と同じだ。やはりあいつは強敵のようだぞ。」
「みたいね。近くに居たから聞いてみただけなんだけど・・・。」
ヒビッキーに耳打ちされてアキバランはなんともいえない顔で言っていた。
「しかし、ビセイ。チチゲルゲのそのシャンパンは店長に値引きさせたのですよ。」
「確かに店長もシビアだけど、チチゲルゲには弱いの。そんなに驚く事じゃないと思うな。」
「そうね〜。店長さんはいい人よね〜。」
「何か微妙に食い違っている気もしますが、レジへ参りませんか?」
話がかみ合っていないのを感じたアキバランは全員を促した。
「じゃあ、今日は自分が並んで支払いしてくるぞ。」
「よろしくね〜。」
カゴを持ったヒビッキーに財布を渡すと、チチゲルゲを始め4人は先にレジの向こう側へ移動した。


はいっ、如何だったでしょうか?悪役ですが憎めないし、凄く庶民的なのがちょっとおかしいですよね?ふふっ。では、ここで、私、秋月律子からバトンタッチしたいと思います。春香〜、お願いね〜。

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