発見(第一犠牲者)

山名 正一  暁 静  横山 秋子(死亡) 宮原 富男
5月20日 15:20

正一が生徒会室について見たものは・・・
首筋に小さな穴があいていて倒れている秋子と、一人の女生徒だった。
この状況でパニックしない方がおかしい。つまり、正一はパニック状態になった。
「秋子!?お前が、お前が秋子を殺したのか!!!」
そう言いながら正一は女生徒の襟を掴んで揺さぶった。揺さぶられた静の方は何の事か分からず突然の行為に焦ったと同時に、苦しかった。
「く、苦しい・・・。は、離して・・・下さい・・・。」
その声でやっと正一は我に返って襟から手を放した。
「ご、ご免。気が動転しちゃって・・・。俺は山名 正一。君は誰で、何でここにいるんだい?」
正一の問いに少し咳き込んでそれが止まって息を整えてから答えた。
「横山先輩に、話があるから生徒会室に来てくれって言われまして。何か大事な話があるとの事でした。あ!えっと名前ですよね。私、暁 静と言います。。」
話の内容は飲み込めた正一だったが、何故静が目をつぶったまま話すのか不思議でしょうがなかった。
「じゃあ、秋子の知り合いなのかな?それと、気になったんだけど何で目をつぶったまま話すの?」
「はい、横山先輩とは中学の時一緒でいろいろお世話になったんです。後、目をつぶっているのは目が見えないからです。」
正一は悪い事聞いちゃったなと思った。そんな正一の表情が分かる訳もなく、静は更に続けた。
「あの・・・ところで横山先輩がどうかしたんですか?私に殺したって言うのは・・・まさか・・・。」
そう言われて暫く正一は無言だった。静にはちょっと耐えるのが辛い間だった。
「死んでる・・・。首の所に何か針にしちゃ大きいけど何か細めのもの・・・そうだなキリとかアイスピックみたいなもので刺した後がある・・・。」
正一の声が震えているのが静には痛い程分かってしまう。
「横山先輩・・・・。」
目は見えないが何となく今の現状が想像出来て思わず秋子の名を呟いた。
「暁さんだよね。」
「はい。」
二人とも涙ぐんで、声も震えていた。そして、正一が言葉を続けようとしたその時
「おはよう、ってあれ?」
生徒会長の宮原 富男が気楽にいつもの様に声をかけたのだが、中の惨事を見て声も出ずびっくりしている。
「会長。誰でも良いですから先生呼んで来て頂けますか?」
正一の声は悲しみに震える声から怒りに震えるものに変わった。
「わ、分かった。すぐに呼んでくるから。」
富男はそう言うなりすぐに職員室に向かって走り出した。
起きている事が事なだけに夢じゃないだろうなと、強く頬をつねった。
痛かった・・・。
「マジかよ・・・」
富男は一言呟いた。

急に空が曇って雨が降り出した。雨はどんどん強くなっていった。
そして、この殺人を誰が悪夢の始まりだと予想出来ただろうか。
そう、保積 賢以外に出来る訳がなかった。