最初の一歩(見習いプロデューサー)

今日からプロデューサーとしてのスタート。
さて、最初は誰からプロデュースしようかな・・・。
9人の候補から慎重に選ぶ。
「菊地 真」
私にはこの子が良いだろう。性格的にも会いそうだ。
芸名は
「雪志野 セツナ」
の決定。
そして、最初の挨拶。とても元気でボーイッシュ。性格は男勝りかと思いきや、結構女の子らしい所がある。
真を何処までのアイドルにしてやれるかは本人の努力もあるだろうが、やはりプロデューサーとしての私の腕が問われる。最初にプロデュースするとはいえ出来るだけ上にあげてあげたい。
最初のレッスンでは他のプロデューサーからの助言でなんとかそこそこのレッスンをしてあげる事が出来たと思う。
コミュニケーションの方はグータッチで最高のやり取りが出来たと思う。今後もこうありたい。
もう一回のレッスンの後ついにオーディション。
5000人のオーディションで三位以内に入る事が合格の条件。
何としても合格させてやりたい!
最初のオーディションでは私は不慣れであったが真の実力もあり、

何と一位で合格出来た!

本人は凄く喜んでいるが、それ以上に私も嬉しい。この調子でEランクアイドルを目指して行こう。
順調にレッスンとオーディション合格を繰り返して行き。ついにアイドルレベルランクアップ。Eとはいえ一応アイドルの仲間入りが出来た。最初の階段を登れたのにはホッとしている。これからも気を引き締めて頑張ろう。
そして、ついに最初の挫折の時が来た。
オーディションで初の不合格・・・
4位で三位に入り損なってしまった。
真の実力はあったのだが、私の指示のミスで落ちてしまった。確かに周りは実力者ぞろいだったが、もっと上手く指示を出してやれば、少なくとも三位には入賞できたはず。真には申し訳なかった。
ただ、真の方は実力差があったといって、次回までにはレッスンを積んで実力をつけてリベンジしようと言ってくれた。この悔しさをバネにして次回は合格だ。

レッスンを一回挟んでのオーディション。先週の終りにファンレターも届き、真のテンションは高くやる気満々だ。後は、私がきちんと指示を出してやれば今回は勝てる!
初めて芸能記者の質問があり、真には自分を見て貰うように言わせて好感触を得られた。今は波に乗っている。前回の負けを引き摺って負け癖を付けるのだけは絶対に避けなければ。
そして、自信のある真に気を引き締めるように行って送り出した。本人のテンションは最高潮。後は私がきちんと指示を出せれば行ける!
そして、オーディション開始。
前回の教訓を生かして、オーディションの戦い方を考えながら指示を出した。
結果は・・・

返り咲きの一位!

見事にリベンジを果たした。完璧なオーディションで他を完全に圧倒した。やはり、真の実力は本物だ。この分なら一気にDランクにも上れるぞ。

それから私がレッスンに悪戦苦闘しながらも、順調に行っていた。残り5週で3万人強のファンを集めればDランクへ上がれる。
この分なら余裕だろう。周りのプロデューサーからも余裕だろうと言われ一人のプロデューサーは、もう駄目じゃないかと言う声も聞けた。
私もそう思っていた。
しかし、現実は甘く無かった。

オーディションは楽勝と思われたが、不合格。
次は行けるだろうと思いそのまま受けたがやはり不合格。
流石に真も初の連敗でちょっと落ち込んでいる。真に落ち度は無い。私の指示ミスだ。

残り三週。ここで勝負をかけなければどうにもならない。

そして、焦るほどに相手も悪く不合格。

残り二週。ここで合格できなければほぼ絶望的になる。
しかし、ここでも不合格。

最後の一週。一か八かの50000人オーディションを受けるも、強敵ぞろいで不合格。

私も真も意気消沈。
社長から活動停止が言い渡され、真に話す事になった。隠しても仕方ない。
はっきりと活動停止を告げた。

ショックを受けてかなりしどろもどろになっていたが、ラストコンサートを飾るべく私は準備に取り掛かった。自分の腕の無さを反省しながら・・・。

そして、ついに真の「雪志野 セツナ」としてのラストコンサートが市民体育館で始まった。市民体育館にも関わらず、ファンは多く詰め掛けてくれた。

真も始まる前まではくすぶっていたが、どうやら割り切ったようでラストコンサートに気合が入っている。
思いっきり行って来いと声を掛けて送り出した。
ラストコンサートは盛況に終り、控え室に戻る前に社長から今回の評価を頂いた。

そして、最後に真本人からの評価を貰った。

最後に別れの挨拶になった。

真のさっぱりと別れようという提案に乗って夕暮れの中、お互いに軽い言葉で別れを告げた。真らしいし、私としても真にはこの方が良いと思っての事だった。

その後で、真から改めてお別れのメールが入った。

内容的にはとても前向きで良い内容だった。
私の不慣れなレッスンやオーディションの指示にも素直に従ってくれた。色々な思い出が蘇り、自分の腕の無さに溜息をついた。
次では、絶対にもっと上を目指して上げてやる!
本人の実力以上のものを引き出して、本人にも私自身にも悔いが無いように・・・。
そう思うものの、やはりショックは大きかった。
最初に手がけた子が能力不足などならまだしも、
オーディションでの私のミスだから・・・
さようなら、真。
自責の念で私のテンションが最低になった・・・。

最終報告

芸名「雪志野セツナ」

キャラ(菊地真)

活動期間25週(ラストコンサート含む)

ラストコンサート:市民会館(1万人収容)

ラストソング:「First Stage」

最終成績:Eランクアイドル

最終ファン数:7万2329人