クローン病15周年について

今年、私はクローン病と正式に診断されて15年が経つ。

21歳、情報処理の専門学校を卒業して今ほどではないが、
就職氷河期の時代に何としても就職浪人だけはしまいと、
新聞広告で見た新宿の駐車場の係員になって一年ちょっと経ってからだった。

休憩所に戻る途中にウーロン茶をコンビニで買って戻る途中、
「あれ?」
と思ったら意識を失って倒れていた。
運が良かったのは、その時に頭を打ったりしていなかったことだろう。

近くの救急病院に運び込まれるまでに、しっかりと自分の名前や聞かれた問いに答えていたらしいが
私には一切記憶は無かった。
意識を失って倒れたという事で、てんかんを含めた脳の検査や、心臓の検査を受けたが異常は無かった。

数日後、親父殿から地元に戻るかといわれて、今も通っている地元の病院へ転院した。
その時に、何かお腹が痛いんだよなあ?と思っていたが何でもないだろうとと思っていた。

この倒れる前に既に予兆はあった。
痔になっていて、それが悪化して切れ痔の上の痔裂になっていた。
便というよりも、血、それも鮮血が水のように出ていた。
まともに座れなかったので、ドーナツ型の円座に座って仕事に通ったりしていた。

そして、移った病院で即クローン病と診断された。
そこから15年が経とうとしている。

最初、三ヶ月という入院を経て、体力と体重を思い切り削られて退院した。

死なない病気ですよ。
そう言われた。
でも、それは生き地獄とも言い換えられる。
取り方の問題なんだけれども。

最初は・・・
生きる事に絶望した時もあった。
痛みから解放されたいと思って、高い所から下を見下ろしたり
電車がホームに入ってくる時に踏み出そうとしたり
自殺に関して色々な資料を読み漁ったりした。

なぜ自分がというのもあった。それは今でもあるが、今はネガティブではなくポジティブに考えられるようになった。
健康な人が羨ましかった。これも変わらないかな。逆に健康な人には健康で居て欲しいと思うようになった。

体力的に無理だった、駐車場の係員から修理屋さんになった。
多くの人とふれあい、社会人として染まっていった。

雪が降った次の日、また、会社へ行く途中で倒れた、
やっぱり、「あれ?」って思ったらもう分からなくなっていた。
この時後々しったのだが、心臓が止まっていたらしい。
救急車で組成作業をして貰って生き返ったらしい。
気が付いたのは、救急車の中で瞳孔を見るライトの眩しさだった。

そこから、内勤になって、そこで自分に何が向いているのかなどを知ることが出来た。
入退院を繰り返しつつも、何とか騙し騙し勤めていた。
途中で軽度のうつ病になったりもした。
他にも色々と。

そして、またひとつの転機がやってきた。
また、会社のエレベーター前で倒れた。

そこで、
「このままだとクローン病ではなく倒れて死ぬかもしれませんよ。」
と言われて初めて背筋が寒くなった。
そして、最終的に引き止められたりしたが約10年勤めて退社した。

ちょうどこの頃にアイマスの最初のオンリーが控えていて、私は会社なんてどうでもよくなっていた。

日本人の一般的といわれるレールからは完全に外れて、やることが無ければそのまま消えていただろう。

そこから、もう三年。途中で体調を崩したりしていたものの、自分の全力疾走が続いている。
自分の目標だった事が早い内に叶い、またその先を見据えて今も突っ走ってる。

そんな現時点での私。
世間では20歳を過ぎると時間の流れが速いというが、私はそんなこと無いと思っている。
病気になってから、毎年充実しているし、むしろ遅くなっているかもしれない。


振り返ってみて、私の事を皆さんはどう思うだろうか?
色々な意見があると思う。

私はクローン病になった事を今は感謝している。
無論辛い事に変わりは無いし、健康を始め失ったものは大きいけれど、それ以上に色々なものを得れたと思っている。
それだけでなく、周囲のありがたみを改めて感じた。
よく言うが、辛い時こそなのである。

「生きていてくれればそれでいい。」と言ってくれた親父殿。
ああ、泣いたさ。自分がこの人の息子で本当に良かったって心底思ったさ。

昔からの親友達。
下らない私の価値観を壊してくれたり、私に無い色々なものを見せてくれたり、まあ、私からすれば皆凄い。

新たに出会った人達。
私の独特の毒に当てられた人達(笑)でも、そんな私を認めてくれた。

病院の先生や看護師さん。現代医学。
時代や、担当になる人が違えば全然違う15年だったのかも。

みんなの支えがあって、私は生きてこれたし、生かされていると思っている。
感謝をどれだけしたって、し足りない。それでも感謝してるけど。

すでに、15年前に居なくなっていたかもしれない私。
そんな私が生き続けている事で色々な人に影響を与えている。
イベントやオフ会なんかで声を掛けたり、声を掛けられたりする。
そこに自分の居場所がある。
生きているという実感がある。


分かっている、最後はベッドの上から動けなる事を。
それは、嫌だけど覚悟出来ているつもり。
だから、それまではこの私を色々変えてくれたクローン病と共に突っ走りたい。
その中で色々な人の何かのきっかけになれればと思う。
もう死んでたかもしれないと思えば、まだまだ、私は動ける。
そして、魂の炎は消えてないから。


そんな馬鹿な半病人の人生はまだ続いていく。
今まで付き合いのある人も、これから出会うであろう人も、こんな奴だけどもう少し付き合ってね。
きっと、大した時間じゃないから。後は、損はさせないつもりだから(笑)

えっ?私だけ楽しんでないかって?否定はしないよ(妖笑)
そんな事言わないで一緒に楽しみましょ。人生は一度きりなのだから。