〜Before Story〜 PULEA(プレア)前編



アルゴル太陽系
宇宙空間

プレアはモタビアからマザーブレインのある地点を計測して宇宙空間へと出ていた。
「隕石の中とはちゃうなぁ・・・。強力な妨害電波が出とるけどそれが逆に目印やわぁ。」
飛行モードになっている綺麗な青いボディは太陽光線を受けて綺麗に反射していた。
暫く行くと大きな隕石がある。妨害電波は間違いなくそこから出ていた。
(隕石の中・・・なんかなぁ?)
影からそっと裏側を覗くと巨大な宇宙船を目視で見つけた。
(なるほどなあ、大きな隕石に上手く隠れて見付からんようにしてるんやなぁ。せやけど、宇宙航行禁止にせな、これだけ大きなものはいずれは見付かってまう・・・。いや、きっとこれを見てしもうたんやな。偶然なんか意図してなんかはわからへんけど。それで、破壊されて事実を事故として捻じ曲げられた。そうすれば、つじつまが合っとる訳やわぁ。)
プレアは過去のデータを照合しながら納得していた。
〔プレア様。如何しますか?〕
((どないしたらええと思う?PULA))
内部の上級プログラムのPULA(プラ)からの問い掛けに、プレアは逆に聞き返した。
〔巨大な宇宙船からの一撃でも問題は無いと思われますが、出来るだけマザーブレインに対する余力を残した方が宜しいかと。丁度、宇宙船は三惑星からの死角になるように隕石に張り付くような形になっています。それを利用して隕石を掘り進む形で一気に近付き、一部に穴を開けて内部に突入するのが最善かと思います。〕
((やとして、この隕石どうやって掘り進むん?))
〔そこは、ご自身の両手をお使い頂き、取り込む形で良いかと思います。その辺はPU(ピーユー)にやらせます。取り込んだものは、後々の内部戦闘で必要になる弾丸等に変換しておきます。レーダーに探知されないように、少しゆっくり目で取り込んで行き、隕石の変形を悟られないようにダミーを残して行きます。その辺はプレア様がお気に欠けずとも私を含め上級プログラム以下全てがお役に立つよう努力致しますので、プレア様はまず宇宙船への突入という第一段階にだけ集中なさって下さい。〕
((分かったわぁ。頼りにしてるで、PULAを始めとするうちの可愛いプログラム達。))
プレアは頼もしいプログラム達に少しその場で微笑んだ後、デゾリスの死角になるように位置を移動して隕石に両手を当てると、瞬時に掌から隕石が吸い込まれるように消える。
(はぁ・・・。我ながら大した機能やわぁ。)
驚きながらも手を突っ込んで行くと、肘までの部分全てから隕石を吸い込んで穴が開いていく。一定の広さに開くと自分の飛行形態で進めるようになる。出来るだけ翼になる部分を畳んで穴に対する面積を減らしてから、進んで行った。

プレアには元々複数のソフトプログラムが内蔵されており、絶対的な最上級に位置するのがプレア自身の
【PULEA】
その下にピラミッド構造で、プレアのアルファベット一文字を少なくした4文字から構成される「上級管理プログラム」に当る
【PULA】(プラ)【ALUE】(アルエ)【LAPU】(ラプ)他
その「上級管理プログラム」に管理されている「上級プログラム」は3文字になり
【PAL】(パル)【UAE】(ユーエーイー)他
そして、先程出てきた中級プログラムに当るのがアルファベット2文字になった
【PU】(ピーユー)【LE】(エルイー)等
最後に下級プログラムとしてアルファベット1文字で構成されるものへとなっていく。それぞれのプログラムの下について行く形になり、下級プログラムと言えどもプレアのものはその辺にあるスーパーコンピュータに匹敵するくらいのものである。

プレア自身がやろうと思えば自分で1太陽系を管理するマザーブレインを上回るだけのものを管理出来るソフトを持っている事などプレアは知らなかった。



惑星モタビア

プレアのソフト製作担当の管理責任者だったミールは爆発した研究所の方を見ていたが、その後、空をずっと見ていた。
「ミール、どうした?」
死んだプリー代わってハード管理責任者だったアイリーがエアカーの運転席から聞いた。
「ああ、プレアは上手くやってるかと思ってね。」
我が子を心配するような表情で答えるミール。
「大丈夫さ。きっとプレアならやってくれる。俺らはその後の事だけ考えれば良いさ。」
「そうだな・・・。」
(マザーブレインが破壊されたとしても、いざとなればプレアが成り代わってくれる。プレアには無限の可能性がある・・・。プレアなら1銀河系を管理する事だって不可能じゃない・・・。)
ミールはあっけらかんと言うアイリーに答えながら、空を見るのを止めて正面を向きながら、神妙な顔つきになっていた。
「プレアの事はあるけど、ヴァイリス博士やゼラムがそれぞれ故郷のパルムとデゾリスに戻れると良いな。」
「確かに。俺らは元々故郷に居るが、二人を含めて故郷に帰れる事は励みになっていただろうし、それが実現すると良いな。そして、故郷で大変になるであろう環境問題を乗り越えてくれると嬉しい。かく言う俺等も頑張らないといけないけどな。」
「うん。それは言えてる。さあて、プレアが先にマザーブレインを壊しちまう前に、プリー博士の旦那の所に着かないとな。」
最初は真面目に言っていたが、最後の方は大分柔らかい言い方になる。
「ああ、だが安全運転で頼むぞアイリー。」
「任せとけって。」
そのやりとりの後、二人は笑い合った。
良く晴れた日差しの中、緑が目に入る公道をエアカーは進んで行った。


一方のプレアは隕石を抜けようとしていた。
(ここからが最初の勝負やな・・・。)
プレアは緊張した面持ちで、薄くなった、隕石の向こうに飛び出す準備をしていた。
「行くでぇーーー!!!」
一気に薄くなった隕石の岩盤をぶち抜いて、プレアは飛行形態になって一気に宇宙船に接近した。宇宙船の方は完全に不意を撃たれて、さした攻撃も出来ないでいた。
プレアはあえて反撃せずに、迎撃の弾幕を縫って宇宙船に張り付いた。
〔プレア様、撃たずに手で開けて下さい。〕
肩のランチャーで打ち抜こうと構えた瞬間、PULAから言われて中断した後、プレアは手を宇宙船の外壁に当てると一気に穴が開いていく。すぐに中に入り込んで再び手を当てるとさっき吸い込んでいた隕石の壁が瞬時に出来て穴を塞ぐ。
〔破壊しない事で、ガードロボットの動きが少しは変わる筈です。内部のマップなどを把握する為に、何処でも良いので端末が通信回線の場所を抑えて下さい。〕
((はいなぁ。来る奴らは片付けてええんやなぁ?))
〔はい。ただ、出来たら外壁は壊さないようにお願いします。もし壊れた時には、早期に塞ぐ様にして下さい。〕
((よっしゃ、早速お客はんが来たでぇ。))
プレアはニッと笑うと、飛行形態から中距離戦闘モードに切り替わって行った。
第一陣は、素早く動ける軽装甲で動きの早いものだったが、プレアのレーザーキャノンであっという間に破壊された。
「なんや・・・えらい弱いやんかぁ・・・。」
プレアは拍子抜けして、苦笑いしていた。
〔プレア様、あれは対人用でもあり一番機動力のあるものですから脆くて当然です。これから、多くのロボット達が襲ってきます。無駄な時間を抑える為に、通信系を探して下さい。〕
((それやったら、目の前にあるさかい。手突っ込んでみるわぁ。))
プレアは何も無い内側の方の壁に腕をめり込ませていく。そのうちに通っている通信ケーブルに当って同化する。
そこから、凄まじいデータが腕を経由して入ってくる。それと同時に、マザーブレインからのウイルスプログラムも大量に流れ込んで来る。
「ちょこざいなぁっ!」
プレアはウイルスプログラムを除去して、逆に自分の持っているウイルスプログラムをケーブル経由に流し込む。それから一秒もしない内に回線が遮断された。
((どうや、PULA。この宇宙船のマップ取れたかぁ?))
〔はい、下級プログラムの一部が持っていかれましたが問題はありません。それと気になるデータと映像があります。進んでいく途中でご報告差し上げますのでご覧下さい。〕
((分かったわぁ。ほな、一気にマザーブレインまで駆け抜けるでぇ。))
やり取りを終えて、プレアはその場から一気に走り出した。


衛星軌道上の牢獄船ガイラに囚人として7名収容
罪状名目・・・モタビアのバイオプラントの件とアメダスへの不評進入(ネイ・ファーストへの攻撃)ダムへの無断侵入と開放(それらに関連するマザーブレインの暴走)
注:要注意人物達に付き、後程処分決定。必ず処分する事。


(内部データやなぁ・・・。あから様に胡散臭い内容やわぁ。せやけど、マザーブレインの暴走っちゅうのが気になるわぁ・・・。)
プレアは走りながら内部から送られてくる内容と同時に囚人のデータを見ていた。
ユーシス、ルドガー・シュタイナー、アンヌ・サガ、ヒューイ・リーン、アーミア・アミルスキー、カインズ・ジ・アン、シルカ・レビニア。
名前と一緒に顔写真も一緒に入ってくる。更に足取りを追うようなデータも入ってきていた。
(このお人達は、別の所から最終的にマザーブレインがおかしいっちゅう事に気が付いたんやなぁ。何とかしてやりたいんは山々やけどぉ、今のうちはマザーブレインを破壊する事が使命やさかい、堪忍なぁ。)
プレアはデータを閉じて、一旦物陰に隠れていたが一気に飛び出して道中を塞ぐロボット達を破壊して進んで行った。

「ちぃっ!撃つ為のエネルギーも弾薬も足りひん。次から次へと雑魚がぁっ!!!」
プレアは叫びながら実弾系武器の残り弾数と、レーザー系の残りエネルギーを見て撃っていた。
〔プレア様、倒すだけでなく味方に引き入れてみるのも一つの策かと。〕
((分かったわぁ。やってみるわぁ。))
プレアは被弾しながらも、一番近くに居た敵に、自分の右手を同化させる。
「どうやぁっ!?」
少しして、煙を吹くとショートして爆発してしまう。
「ちぃっ!!!」
(あかんっ!うちとマザーブレインの制御の取り合いに機体が耐えられてへん。)
舌打ちしてプレアは撃ってくる方に盾を向けて防御する。
綺麗な水色のボディのラコニウム合金はビーム兵器を屈折させてダメージを軽減させ、実弾兵器もかなり弾いていた。ただ、流石に被弾する量が多いので無傷とは行かなかったが、そこはプレアの驚異的なリジェレネート機能が完全にカバーしていた。ダメージを受けた所やへこみ等はあっという間に自己修復されていた。
〔プレア様、味方にするのが無理ならば、弾薬やエネルギーの元になって貰いましょう。そうすれば、弾切れも無くなります。〕
((せやなぁ。流石はPULAやわぁ。ガンガン取り込んで武器にしたるでぇ。))
プレアはPULAの助言通り、近くに居る敵を片っ端から両手で取り込んで、肩や腰にある実弾系のキャノン砲の弾薬や、ビームガン系のエネルギーに回した。
そして、その分で中、遠距離に居る敵を沈めて行った。
これにより、プレアの進行ペースが格段に上がって行った。