意外な一面?

ハオは機嫌が悪かった。
「・・・ったく。いきなりやれって、しかも明後日までだあ。終わるかっての。」
アカデミーで教授から課題を出されたもののあまりに無茶な課題だったのでハオは怒っているのである。しかも、ハオにとっては専門外なのである。
「やっぱり・・・あん時文句言ったのが悪かったんかなあ・・・。」
嫌がらせをされる心当たりはあったが、それよりもこういう形での八当りはハオにとって一番嫌いなやり方だった。
「文句を言っても始まらないのは分かってるんだが・・・どうしたもんか・・・。」
とはいえ生真面目なハオは何とかして課題をやろうと思い今、パイオニア2ライブラリーに向かっているのである。

「おやあ?あれは、はおさん。」
テムは散歩していて、派手な出で立ちのハオを見つけた。すぐにトテトテと寄っていった。
「はおさん。やほ〜♪」
「ん?」
ハオは声をかけられて振り向いた。
「何だ、テムか。」
「なんかごきげんななめですねぃ。あたしでなにかやくにたてないかなぁ?」
テムの言葉に少し考えているハオ。その間テムはちょこちょことハオの周りを回っている。
「テム。誰か頭の良い奴知らないか?」
「おういえ〜♪とろさんなんてどですかぁ?」
ハオはテムの言葉にこけていた。
「あのなあ、お笑いの問題ならまだしも・・・いや、それも危ないかもしれん。その前にあいつって頭良いのか?」
ハオの言葉に可愛く首を傾げるテム。それを見てジト目をするハオ。
「俺が悪かった。聞いた相手を間違えたな。とりあえず2日はいつもの所には顔出せないから、誰かに聞かれたらそう伝えてくれ。」
「おういえ〜♪」
ハオはそれだけ言うと去っていった。
「なんか、あんまりあいてされてなかったぽくって、ちょっとさびしぃですねぃ。」
そう呟きながらぽつんとテムはハオを見送っていた。

ハオはパイオニア2ライブラリーに来ていたが悪戦苦闘していた。
(さっぱりわからんw)
それらしき本を持ってきているものの、中身がさっぱり分からない。
それから30分して、ハオは諦めて本を元に戻して家に帰る事に決めた。

「しっかし・・・まずいなあ・・・。」
苦笑いしながらハオは帰路についていた。
「あらぁ?ハオはんやありまへんかぁ。」
「ん?」
何とも独特の話し方をする相手に声をかけられた。
「やっぱりプレアか。」
「はいなぁ。おこんにちわぁ。難しい顔してどないしはりましたん?」
(まあ、テムやトロよりは頼りになっかな?)
ハオはプレアの顔を見ていた。
「?」
プレアは不思議そうにハオを見返していた。
「あのさあ、プレアってこのへん分かるか?」
そう言ってハオはプレアに課題の内容を見せた。プレアはパラパラとめくっている。
「うーん、そうやねえ。このへんやったらぁ、分からへんことは無いけどぉ。うちよりチャオはんの方が詳しい思いますわぁ。」
「まてw」
思わずハオは突っ込んだ。
「はいなぁ?どないしはったん?」
「プレアが分かるってのは分かる。なんでチャオが詳しく分かるんだ?」
ハオは不思議そうに聞いた。
「まあ、それは行ってからのお楽しみいう事でぇ。とりあえず大丈夫やったらこれからチャオはんのアパート行きまへんかぁ?」
ハオはお楽しみと言われて訝しげな顔をする。
「まあ、いいって事にしとくか。じゃあ、悪いけど案内してもらえるか?」
「はいなぁ。」
ハオとプレアはチャオのアパートに向かって歩き出した。


「にゅっふっふ〜ん。」
チャオは上機嫌で猫のワンポイントの入ったコップでミルクを飲んでいた。
ピンポーン
「おろ?」
チャオは玄関の外が写るモニターを見た。
(あれ?にゃんでハオがいるにゃ???)
チャオは不思議そうな顔をしながらもドアロックを外した。
「お邪魔します。」
ハオは挨拶してから中に入っていった。途中でキョロキョロしながら周りを見る。多くのものに猫の模様が入っている。
(チャオらしいなw)
そして、二人はチャオのいるリビングについた。
「よっ!チャオ。」
「今日はどうしたんだにゃ?ハオ???」
不思議そうに言うチャオ。
「実はさ、これなんだけど分かるか?」
早速そう言ってからチャオに課題を見せた。
「ふむふむ・・・懐かしいにゃ〜。」
「なに?w」
少し遠い目をするチャオと反対に驚くハオ。それを見ながらプレアは少しくすくす笑っている。
「まあ、置いといてっと。そりで、これを卒業までにやれって言われたのかにゃ?」
「いや、明後日まで出せとさ。」
ハオはげんなりした顔で言う。
「にゃんですと!?そんなの無理にゃ。分かってたって一週間はかかるにゃ。」
「何!?」
チャオの言葉にハオは言った後握り拳を作った。
(あんにゃろう・・・。)
「でも、あちしなら明後日まで仕上げてあげるにゃ。」
「待てw」
「またにゃい。」
「いや、いいから待てw」
「やれやれ、仕方ないにゃ〜。」
チャオはポーズをしながら言う。それを端で見ているプレアは笑いを堪えていた。
「分かる奴が一週間かかるのを2日で出来んのか?」
信じられないという顔でハオが言う。
「そうにゃ。その代わり、何で出来たのかとかはあとで聞かにゃい事。それと、あちしからその課題出した教授宛にメッセージチップ作るからそれを渡してにゃ。この二つを守ってくれるならあちしが2日で仕上げてあげるにゃ。どうせ今日、明日は暇だからにゃ。どうにゃ?」
ちょっとニヤリと笑いながらチャオは言う。
「それ以上は良いのか?」
不思議そうに聞き返すハオ。
「そりって、もっと要求して欲しいかにゃ?にゅふふ」
にんまりと笑いながら言うチャオ。
「くっ。いや、お願いします。」
(ここは変に何も言わない方が得策だな。)
「じゃあ、明後日の朝にでも取りに来てにゃ。それまでには仕上げとくにゃ。」
「年の為聞いとくが、出来ないなんて事はないよな?」
(しまった!)
と思ったが遅かった。つい、ハオは突っ込んでしまった。
「にゅふふ、なかなか挑発的な意見だにゃ。出来てなかったらそっちの言う事聞いてあげるにゃ。その代わり・・・そこまで言ったんだから出来たらあちしの言う事聞いてもらうにゃ。」
「待てw」
ハオがそう言うとチャオは課題をハオの方へ突き出す。
「待たなくて良いです。」
ハオは苦しそうに言う。
(くそっ。今は我慢だ。)
「よろしいにゃ。そうにゃ、夕飯食べてくにゃ?」
チャオは時計を見てハオに聞く。
「いや、帰るわ。遅くなるとも言ってないし。悪いけど、それ宜しく。」
「わかったにゃ。そりじゃあ、まったね〜。プレア玄関まで送って行ってあげてにゃ。」
「はいなぁ。」
プレアに案内されて玄関まで歩いていた。気のせいかさっきと廊下の作りが微妙に変わっているような気がする。
「あのさあ、大丈夫かな?」
ハオは歩きながら切り出す。
「ん?チャオはんからの言う事でっかぁ?」
「いや、課題の方なんだが・・・。」
(いきなりそっちかいw)
ハオは突っ込もうと思ったが抑えていた。
「それは、大丈夫やと思いますわぁ。ハオはんは何言われるかだけドキドキしてると良いですわぁ。くすくす。」
(プレアが言うなら・・・って。まあ、明後日になりゃわかるか。)
二人は玄関についた。
「じゃあ」
「お気をつけてぇ。」
ハオが出ていく時にプレアは軽く一礼しながら言った。
「ふう、やれやれ、しっかし、何言われるんだかw」
ハオは呟きながら家に向かって歩き出した。



2日後・・・
ハオはすっかり出来あがった課題とメッセージの入ったメモリーチップを持って教授の所へ歩いていた。
(しかし・・・まさか本当に出来てるとはな。俺見ても全然わからねえしw気になるのは渡してくれたのがメビウスってとこだよな。後で何か言われるの覚悟しておかないとな。)
そして、教授のいる部屋の前についた。
「失礼します。」
ハオは挨拶して中に入っていった。
「どうだね。課題は出来たかね?」
嫌味たっぷりに言う教授。
「はい、後このメッセージカードも読んで下さい。それでは失礼します。」
教授は驚いた顔をしてハオから課題とメモリーチップを受け取っていた。少しあっけに取られている教授をみて、逃げる様に部屋を後にした。
(そういや、待てよ・・・あのメッセージカードを渡したって事は、俺がやってねえってバレバレじゃんか。)
「やべえ、また何かされるのかよ・・・。」
苦笑いしながらハオはアカデミーの廊下を歩いていった。


しかし、それからハオがその教授から嫌がらせをされる事は無くなった。
「何でだ?wおい。」
ハオは誰に言うでもなく呟いていた。