幸せな一時(チャオのアカデミー時代秘話(中編))

チャオがサテラと付き合い始めてから1ヶ月が過ぎ様としていた。
アカデミーでも少し噂にはなっていた。
秀才とお金持ちの奇妙な組み合わせは話題になるには十分な理由だった。
チャオは実際に博士号に近い存在だったし、サテラはパイオニア2の中でも屈指の富豪の息子だった。
チャオは特に自分の能力を鼻にかける事は無く、何時でも明るく元気だッた。
サテラも家の事を鼻にかける性格ではなかった。
そんな二人はお互いに自然と引かれ合って行った。

「サテラ。今夜暇かにゃ?」
「え?暇だけど。」
突然言われてサテラはキョトントした。
「それじゃあ、うちに来ないかにゃ?」
「ええっ!?」
少しはにかんだ表情のチャオの顔と、言葉にサテラは驚いていた。
「あー、えーと・・・その・・。」
サテラはしどろもどろになっていた。
「駄目・・・かにゃ?」
チャオは上目使いで見る。
「行かせて頂きます。」
サテラはそう言うと立ちあがって敬礼した。相当混乱している様だった。
「にゃは。」
そんな様子をチャオは微笑みながら見ていた。

アカデミーの帰り際からずっと手を繋いでいた二人の胸はお互いどきどきしていた。
そして、チャオのアパートについた。サテラは初めて上がるチャオの部屋をキョロキョロ眺めていた。あちこちに猫のワンポイントの入ったものが目に付いた。
一方チャオはキッチンで夕食の支度をしていた。
「にゅっふっふ〜ん♪」
鼻歌混じりに慣れた手つきで料理を作っていく。お得意の魚料理である。
暫くして料理が出来上がった。
「頂きます。」
「頂きますだにゃ。」
チャオは料理の出来映えはどうか気になりサテラをじっと見ていた。
「うん。このお魚美味しいね。」
「にゃは。」
ニッコリ笑って言うサテラを見て嬉しそうに笑うチャオ。
「お代わりもあるから遠慮しないで食べてにゃ。」
そう言ってからチャオは食べ始めた。二人はアカデミーでの話しをしながら楽しい一時を過ごした。
「ごちそうさまでした。」
「お粗末様だにゃ。」
食べ終わった食器を片付けて少しテレビを見ながら二人は寄り添いあっていた。
チャオの頭を自分の肩に感じてサテラはどきどきしていた。チャオの方は何だか安心していた。
「サテラ〜。」
チャオは甘えた声で下から見上げながら言う。
「は、はい!」
サテラは緊張して堅くなる。それを知っているかどうか分からないがチャオは目を閉じた。誰もいないのは分かっているのだがサテラは思わず周りをキョロキョロ見てしまう。チャオに分からないように一回深呼吸してから意を決してチャオにキスした。緊張からかお互いに少し震えていた。
そして、少ししてサテラの方から離れた。
「サテラ・・・あたし・・・多分・・・すごく・・・エッチかもしれにゃいよ。」
チャオの赤くなりながら言う顔にサテラは興奮で頭のネジが2、3本飛んでいた。
「僕も・・・そうかもしれない・・・。」
興奮を通り越して真面目な顔になっていた。
「にゃは。それだったら一緒だね。」
その言葉に我慢出気無くなって無言でサテラはチャオを抱き締めた。チャオもそれに答える様に抱き返した。
そして、二人の熱く長い夜が始まった・・・。夜が空けるまで二人はお互いを求め合った。
「サテラ・・・。」
「チャオ・・・。」
二人には相手しか見えていなかった。
そして、夜が空ける頃・・・
「今日は授業さぼっちゃうことになるにゃ。」
「良いよ、今日くらいはね。眠っちゃおう。」
「うんっ♪」
二人は満足した顔で再び抱き合って眠りについた。