ウォーターランドへゴー(プロローグ)

メビウス・ヴィクスン・ヴィーナの三人は買い物に来ていた。丁度ショップではレトロな抽選会をやっていた。あえて、電子的でなく手で回して色のついた玉が出て、その色で商品分けをしていた。
ヴィーナは、それを回したくてうずうずしていた。丁度買い物をして3枚の福引券を貰っていた。
「じゃあ、一人一回だな。まあ、こういうのには俺は運がねえからな。とりあえず、あの6等の猫グッズあたりをチャオの土産にできりゃあ良いかな。」
「あたいは、4等のオーバーザワールドの入場券がいいねえ。そうすりゃまた行けるしね。」
そんな二人の会話を交互に見上げながらヴィーナは目をぱちくりしていた。
「ヴィーナはどれが良いんだい?」
「あたしはあれがまわしたいの〜。」
にっこり笑って前の人が回してガラガラ音を立てている、抽選箱を興味心身で見ながら言った。
「はっはっは。じゃあ、どうせだから、3回ともヴィーナに回させてやるか。」
「ふふ。そうさね。3回回すかい?」
「うんっ!」
二人の言葉にヴィーナは本当に嬉しそうに微笑みながら頷いた。

そして、いよいよヴィーナの番がやってきた。
「わーい。がらがらなの〜♪」
ヴィーナはそのままでは届かないので、回すのに丁度いい高さの所までメビウスが抱き上げた。

ガラガラガラ・・・コロンッ

受け皿には緑色の玉が出た。
「おめでとうございます。6等です。」
「よっしゃ。良くやったぞヴィーナ。チャオへの土産が出来た。」
良く分からずヴィーナは首をかしげた。
「パパはいいから、ほら後2回あるよ。」
「うん。」
再び向き直ってヴィーナは回し始めた。

ガラガラガラ・・・コロンッ

受け皿には赤い玉が出た。
「残念でしたね。はい、キャンディですよ。」
「わーいなの〜。」
ヴィーナは喜んでキャンディを受け取った。
「ヴィーナにしてみりゃ当たりだな。」
「うふふ、確かにそうさね。」
ヴィーナは貰ったキャンディを握り締めながら、最後の一回を回し始めた。

ガラガラガラ・・・コロンッ

受け皿には何と金色の玉が出た。
「おおっ!大当たり〜!!!おめでとうございます。特賞でーす。」
周りが一気に大騒ぎになったので、三人は驚いていた。
「特賞って何だ?」
当たるわけないと思っていたメビウスは、改めて商品欄を見た。
[特賞・・・オーバーザワールド・ウォーターランド10名様特別招待券]
「はっはっは。見事に、ヴィクの欲しがってた上の奴を引き当てたな。」
「ウォーターランドって言うとプールとかある所だよね?」
「ああ、そうだな。」
メビウスとヴィクスンがそんな話をしている中、周りが騒ぎになっている中で、
(これ、たべていいの〜?)
ヴィーナは貰ったキャンディをじっと見つめていた。


「おおおお〜!可愛いにゃ〜♪」
チャオは福引の景品の猫グッズを見て目を輝かせながら言った。
「これ、本当に貰っても良いのかにゃ?」
「ああ、良いよなヴィーナ?」
「うんっ!」
貰ってきたキャンディを舐めながらヴィーナは頷いた。チャオは小躍りしながらグッズを持って自分の部屋に入っていった。
「さて、後はウォーターランドのメンバーをどうにかしねえとな。」
「とりあえず、チャオとフェリーに聞いてみるさね。」
「そうだな。戻ってくるの待つか。」

チャオはニコニコしながら部屋から戻ってきた。
「チャオ。」
「にゃ?」

「後さ、他にウォーターランドの招待券があるんだけど行くか?」
メビウスはちょっと控えめに聞いた。
「良いけどにゃ。何で控えめに聞くにゃ?」
チャオは首を傾げながら聞き返した。
「いやさ、チャオは猫の遺伝子が入ってるだろ。猫って水嫌いかなと思ってさ。」
「にゃはは。その分あたしは残り半分の人間の遺伝子で水は大丈夫なんだにゃ。でも、プールみたいなのは久しぶりだにゃ〜。」
チャオはちょっと懐かしむように言った。
「他に誰かいたら誘ってくれ。10人までOKだからさ。」
「分かったにゃ。」
チャオは早速ビジフォンをかけに奥へと移動していった。

「ふう、さっぱりした。ヴィクスンいらっしゃい。チャオ随分とご機嫌みたいだけど、何かあったのかい?」
少しして、バスタオル姿のフェリアーテが三人の前に現れた。声を掛けられたヴィクスンは軽く手を上げた。
「まあな、んでさ、フェリー。」
「ん?何だい?」
「良かったらさ、ウォーターランドに行かねえか?」
「ウォーターランドって何だい?」
メビウスの言葉にフェリアーテは首を傾げながら聞いた。
「まあ、名前の通り水で遊ぼうって奴さ。プールとか、人口の川や海なんかがある所だ。」
「うーん。あたい泳ぐのは苦手なんだよね。まあ、水は嫌いじゃないけどさ。」
フェリアーテは苦笑いしながら答えた。
「丁度いいじゃねえか。ハオにでも泳ぎ教えて貰えよ。」
「教えてくれる前に、来てくれるか分からないって。ハオだって忙しいだろうからさ。」
「まあ、俺でも良いけどな。泳ぎが出来ると泳ぐ事でトレーニングにもなるからな。」
「そう言うんなら、行ってみようかね。」
フェリアーテはトレーニングになるという言葉に反応したのを見て、メビウスは少し苦笑いしていた。

「メビウス〜。メンバー決まったよ〜。」
話の途中で何時の間に来たのかチャオが言う。
「おいおい、早えな。フェリーは入ってるんだろうな?」
「勿論だにゃ。ハオもね〜。」
「本当なのかい?」
フェリアーテはびっくりして聞いた。
「にゅっしっし〜。フェリーの水着見に来いって言っておいたにゃ。」
「水着って・・・何だい?」
「うにゃにゃ???」
チャオはフェリアーテの意外な一言にびっくりしていた。
「フェリー。お前、水着知らねえのか?」
「水の中には裸か服のまま入るんじゃないのかい?入る為の服装があるのかい???」
(こりゃ、マジで知らねえな。)
メビウスはチャオを手招きした。チャオはそのままメビウスの所まで来た。
「いいかチャオ、くれぐれも変な水着は選ぶなよ。」
「にゃはは。そんな事するわけ無いにゃ。」
(ちっ!ばれてたかにゃ。)
メビウスに釘を刺されたチャオは思っている事をおくびにも出さず笑って言い返していた。
「フェリー、チャオと一緒に水着買ってこいや。」
「ああ、そうするよ。チャオ宜しく頼むよ。」
「任せるにゃ〜。」


数分前・・・
(ん?メールか?チャオからか、珍しいな。)
[ハオへ
ウォーターランドの招待券があるにゃ。テムとトロも誘ったから是非来てにゃ。いろいろ楽しい乗り物とかもあるみたいだから、宜しくにゃ〜。日にちは5日後だからね〜。OKでも駄目でも返事宜しくにゃ〜。
チャオ]
「ウォーターランドねえ。まあ、いいか。チャオの言う通りアトラクションも沢山あるみたいだしな。」
ハオはメールでOKの返事を出した。

「おやぁ?」
テムは夕飯が終ってウトウトしている時にメールの着信音で気が付いた。
(ちゃおさんからめ〜るなんてめずらしぃ。どれどれぇ。)
[テムへ
ウォーターランドの招待券をヴィーナが福引で当てたんだにゃ。沢山いけるから一緒に行って楽しもうにゃ〜。日にちは5日後だよ〜。OKでも駄目でも返事頂戴にゃ〜。
チャオ]
「うふふぅ。もちろんおぅけぃ♪」
テムはすぐにOKの返事を出した。

「ん?誰だ!?」
トロはホラー番組を見ていたのでびっくりして、ビジフォンを見た。
(ふう。チャオからか。って、メールなんて珍しいな。何だろね?)
[トロへ
ウォーターランドの招待券をゲットしたにゃ〜。来るととっても楽しい事があるにゃ。何かは5日後に来てからのお楽しみだにゃ。にゅっしっし〜。お返事待ってるにゃ〜。
チャオ]
「うっしっし〜。こりゃ行くしかないね。」
トロは即OKとだけ入れて返事を出した。

「うん?何なのじゃ?」
和夜はメールが届いているのを見てビジフォンを見た。
[和夜へ
ウォーターランドの招待券が手に入ったにゃ。和夜って泳げるかにゃ?まあ、泳げなくても楽しめる施設が沢山あるから、5日後暇だったら一緒に行こうにゃ。来なくて泳げにゃい事がバレないといいにゃ。にゅふふ。お返事待ってるにゃ。
チャオ]
「うぬぬぬ。チャオ・・・わらわを挑発しておるな。ふっふっふ。行ってやるのじゃ。わらわは泳げるのじゃ。」
和夜は不適に笑いながら、OKの返事を出していた。

「にゃはは、5日後が今から楽しみだにゃ。」
チャオはにっこり笑いながら呟いていた。