肝試し(前編)

「は?肝試し?」
ハオは言い出したトロの顔を見て思わず言っていた。
「そうそう、肝試し。ハオも参加しない?」
「肝試しとか言って、メディカルセンターに肝臓の検査しに行くとかいわねえよな?」
「ギクッ!ま、ま、まさか、そんな事言わないよ。」
あからさまに動揺しているトロをハオはジト目で見ていた。
「ふーん。それで何時やるんだよ。」
「明後日の夜だよ。じゃあ、ハオは参加ね。」
「まてw」
「ん?何?」
「何じゃねえ、勝手に決めるな。」
ハオは勝手に強制参加するように言うトロにツッコミをいれていた。
「じゃあ、不参加っと。」
「それも、まてw」
「もーどっちなの?」
やれやれと呆れた表情とポーズでトロは言った。
「人の話を聞け!」
「はーい」
トロは仕方なさそうに返事をしてから黙った。
「とりあえず、参加してみる。明後日で何か用意するものあるのか?」
「了解。特にもっていくものとかはないけど、何かあった時の為に二人一組でやるから、もう一人誘ってね。ちなみに私はセシールと一緒で、テムはチャオと一緒ね。」
(もしかして俺はめられたのか?)
ハオは黙っていた。
「じゃあ、宜しくねー。私はセシールの所に行くから。」
ハオはトロを見送りながらどうしたものかと悩んでいた。
(アカデミーの誰かを誘うかな・・・。)


「ええっ!だってさ、ハオにはあの赤毛のお姉さんがいるじゃん。」
「フェリーは関係ねえって。」
「ムキになるのが怪しいなあ。」
「てめえらなあ・・・。もういいよ・・・頼まねえ。」
ハオはアカデミーで友人達を誘ったが誰も来てくれない上に、フェリアーテの話題でからかわれたので頭に来ていたのもあったが、虚しくなって諦めていた。
「ったく、友達甲斐の無い奴等だな。」
少し溜息をついてからハオはアカデミーを後にした。


「あたしで良いのか?」
ソニアはフェリアーテに不思議そうに聞いた。
「ん?何でだい?」
「ハオは良いのか?」
「他の誰かと組むか、来ないと思うしねえ。」
「ふーん。」
ソニアはフェリアーテの表情を見て何かを考えていた。


「そりゃあさ、あたいだってハオを誘いたい所だけどさ・・・。なんかあから様だし何より肝試しってのを知らないからねえ。」
フェリアーテはソニアと分かれた後苦笑いしながら呟いていた。
「一体何するんだかねえ・・・。」


「しゃあねえ、一応誘ってみるか・・・。」
ハオはビジフォンでチャオの所へかけた。
「「チャオ♪おおハオ。どうしたにゃ?」」
「あのさ、明後日の肝試しの事でさフェリーいるか?」
「「ううん。ソニアの所に行ったみたいだにゃ。にゅふふ。」」
「何だよw」
「「フェリーに用事があるなら直接フェリーにかければ良いのにって思っただけだにゃ。」」
(あ、そう言われりゃそうか。)
ハオはいつもフェリアーテはチャオの所にいると言う認識しかなかった。
「「おろ???」」
チャオはからかうつもりだったのだが、意外な反応に目をぱちくりしていた。
「悪い、直接かけてみる。」
「「うんっ!そりじゃあ、まったね〜。チャオ♪バイバイ!」」
そして、ビジフォンは切れた。
しかし、ハオは暫くかけようかどうか迷っていた。


「お、ハオ。初めてだね。あたいのビジフォンに直接かけてくるのは。」
「「あ、ああ・・・。」」
ハオは変に緊張していた。
「それで、どうしたんだい?」
「「いや、肝試しの事でさ・・・。」」
(ん、そうだ、ハオなら肝試しが何か知ってるさね。)
「あのさ、ハオ。肝試しってのは何をするんだい?」
「「フェリー、肝試し知らないのか?」」
ハオは不思議そうに言った。その言葉にフェリアーテは黙って頷いた。
「「お化けが出そうな所とかに行って、その人間の度胸を試そうって奴さ。墓とかが多いかな。」」
「なるほどねえ。随分と思い切った事するもんだねえ。」
フェリアーテは感心してた。
(フェリーの奴何か勘違いしてないか?)
ハオはそう思っていたが黙っていた。
「「それでさ、良かったら俺と組んでくれないかな?」」
「分かったよ。ソニアと組む約束していたけれど、そっちは断わるさね。ソニアはハオと組む事があれば、断わっても良いって言ってくれたからね。」
「「じゃあ、明後日チャオのとこに行けば良いか?」」
「そうさね、待ってるよ。じゃあねハオ。」
そして、ビジフォンが切れた。

「あたいの本当の力が必要な時が来たのかねえ・・・。ラジャ様、あたい頑張るよ。」
フェリアーテは少し強めに拳を握った。