危ないおもちゃ(後編)

「で、何でこんなこそこそするんだ?」
不思議そうにハオは聞いた。
「そりゃあ、ねえ。」
「うふふ〜。」
意味ありげに向かい合って笑うトロとテム。
「まてw意味ありげに笑うのは良いが説明しろ。」
「仕方ないなあ・・・。じゃじゃーん。これを見るべし!」
そう言ってトロはビジフォンをハオの目の前に出した。
「は?ビジフォンがどうした???」
少し呆れた様に言うハオ。
「ありゃ?ついてなかったね。こりゃ失礼。てへっ」
ビジフォンを見直してトロは舌を出した。
「てへっ。じゃねえ!」
ハオはトロに素早く突っ込む。
「まあまあ、ハオ様これをご覧下さいな。」
そう言って、改めてハオにビジフォンを見せた。

「「緊急速報!アカデミーにテロ!」」

そう題名がついているニュース速報がやっていた。
「テロ?」
「そう、何処にテロリストが潜んでるか分からないんだって。」
「てろりすとはあぶないですぅ〜。」
三人はしゃがみ込んで話し合っていた。ヴィーナはハオの傍らで眠っていた。
「だから、目立たない様に移動してるって訳だね。分かったかな?ハオ君。」
「誰だよお前はw」
胸を張って偉そうに言うトロに突っ込むハオだった。
「でも、どこにいくんれすかぁ?」
「えっとね、セシールと入れ替わりに行くんだ。」
「まてw」
「おお〜。」
「まてまてまてw」
トロとテムは不思議そうにハオの方を見る。
「どうしたのかな?ハオ君?」
「どうしたんですかぁ?」
「お前等なあ・・・。テロリストがいるってのに入れ替わったら危ないだろうが。」
ハオに言われてトロとテムは腕を組んで考えこんだ。
{でも、待てよ・・・。}
ハオは、考えこんでいるトロからビジフォンを取って、さっきのニュース速報を見続けていた。
{これって・・・・。ヴィーナのやった事じゃねえか・・・。}
「じゃあ、行くだけ行ってお茶でもご馳走になって話でもしよっかな。やはりここはお笑いに不可欠のハオ様のツッコミが無いとね。うっしっし〜。」
「まてw」
「おういぇ〜。」
「テムもまてw」
「さあ、話が決まった所で早速こそこそ行こう!」
「こそこそいこ〜。」
「お前等人の話聞けよ!w」
ハオのツッコミを無視してトロとテムは歩き出した。
「ったく、しゃあねえな。」
そう言いながらもハオはヴィーナを抱えて二人の後を追った。


「いらっしゃいませ。」
「やっほー。今日は友達連れてきたよ〜ん。」
セシールの住んでいる居住区は大きな家しかなかった。
「うわぁ。すごいおうちですぅ。」
「驚くのが遅いってのwえっと、このちっこいのがテムで俺はハオ。んで、この寝てるのが知り合いの娘でヴィーナってんだ。」
「あたしが紹介したかったのに〜。まあ、いっか。ちなみにねこのハオ様はツッコミの名人なんだよ。」
「まてw」
「へえ、そうなんですか?」
「そっちも、信じるな。」
「ね?ツッコムの早いでしょ?」
「うふふ、そうですね。」
セシールはやり取りが面白くて、頷きながら笑っていた。
「はおさんも、とろさんもたのしぃですよ〜。」
「テムさんですね。宜しくお願いします。」
セシールはしゃがみ込んでテムに挨拶した。
「おういぇ〜。」
セシールは、皆を中に招き入れた。

「てな訳で、今日は入れ替わるつもりだったんだけど、外が物騒だからねえ。ごめんねえ。また今度入れ替わろうね。」
「はい。」
「今度って、そんなに入れ替わってるのか?」
ハオはジト目で言った。
「まあまあ、そこは内緒って事で。ハオ様だって内緒にしてる事あるでしょ?例えばフェリーとのあーんな事とか?」
「まてw何だあーんな事ってのは。」
「それは・・・。ねえテム。」
「うふふ〜。」
意味ありげに笑う二人。その二人を不思議そうに見ているセシール。
「んにゅ?」
その時ヴィーナが目を覚ました。
「げっ!」
「げ?」
驚くハオを見て、他の三人は不思議そうに見ていた。
「あれ?ここどこなの〜?」
ヴィーナは目をぱちくりして辺りをキョロキョロする。ハオはその隙にヴィーナからバズーカを取り上げた。
「あっ!はおちゃん。それ、かえし・・・。」
ヴィーナは途中まで言いかけて恐いハオの顔を見て黙った。そして、涙ぐみ始めた。
「ハオ様が女の子泣かせた。」
「意味ありげに言うなw」
「代わりのおもちゃで良ければあちらに沢山ありますよ。」
にっこり笑うセシールの言葉にヴィーナは涙ぐむのを止めた。
「さあ、こっちですよ。連れて行ってあげて良いですか?ハオさん。」
「ああ、頼む。」
「じゃあ、お姉ちゃんと行きましょうね。」
「はいなの〜。」
セシールはヴィーナの手を引いて部屋から出ていった。
ハオはとりあえず、バズーカを床においた。
「ふう。」
「どうしたんですぅ?」
「そうそう、あんなに慌てちゃってさ。」
「何でもねえよ。それよりさ、さっきのセシールだっけか、話させてくれねえ?」
誤魔化す様にハオはいった。
「いいけど、まさかハオ様・・・セシールまで。」
「まてwまでってのは何だ!」
「はおさんふたりはだめですよぉ。」
「テムもまてw」
「ったくこいつ等は。」
ハオはツッコムのを諦めて、出されていた紅茶を飲んだ。
{さーて、こいつ等はほっといて、この武器をどうするかだな・・・。}
ハオは談笑している二人を見ながら考えていた。