危険なおもちゃ(中編)

アカデミーの講堂内は大騒ぎになっていた。
「どか〜ん!どか〜ん!」
ヴィーナがそう言う度にバズーカから弾が発射され、講堂を無茶苦茶にしていった。
「おいおいおい!」
ハオは初めはポカンとしていたが流石に酷すぎる有様にそうつぶやいていた。
「ヴィーナ!お前何やってるか分かってんのか!!!!」
そして、ついに怒鳴りつけた。
一瞬ヴィーナはピタッと止まった。そして、ハオの方を見た。あからさまに怒っている。
「ふえ〜〜ん。」
その顔を見て泣き出した。
「これだけの事やったんだ。泣いたって許されねえぞ!」
ハオは泣いているヴィーナに更に突っ込んで怒った。
「びえぇ〜〜〜!!!」
ヴィーナは泣きじゃくりながら、バズーカを乱射し始めた。
「まてっw」
ハオはヴィーナを抱え上げて一気に講堂から外へ走り出た。


「ここで緊急ニュースです!アカデミーにテロリストが乱入し武器を乱射した模様です。講堂内は滅茶苦茶になっており、怪我人などの情報が入り次第お伝え致します。尚、テロリストは現在も逃走中との事ですのでお気をつけ下さい!」
チャオは朝ご飯を食べながらニュースを見ていた。
「にゃんだか、物騒だにゃ〜。」
そう言いながら、周りを見たが今朝はどう言う訳か誰もいない。
「皆、何処いったのかにゃ〜。」
首を傾げながら猫のワンポイントの入ったコップのミルクを飲んだ。


街中も大騒ぎになっていた。
プレア、メビウス、フェリアーテの三人は別れてヴィーナを探していた。

「ヴィク、そっちはどうだ?」
メビウスはビジフォンの向こうにいるヴィクスンに聞いた。
「こっちには来てないみたいだね。そっちはどうだい?」
「こっちも手掛かり無しだ。他の二人が見つけてくれてると良いんだけどな。」
流石になかなか見つからないので、メビウスとヴィクスンはビジフォン越しに苦笑いしていた。

「「プレア。こっちでは、見たと言う話は聞けなかった。引き続き探す。」」
ウルフからの通信を受けながらプレアは辺りを見ていた。
「「分かりましたわぁ。こちらでもぉ、まだ見つからないわぁ。メビウスはんや、フェリアーテはん達と探すポイントだぶるとあかんからぁ、ポイントデータ送るさかい参考にしたってぇ。」
「「分かった。通信一旦切らせてもらう。」」
「「はいなぁ。」
{これだけ探して見つからんちゅうんわぁ、おかしいわぁ・・・。}
ポイントデータを送りながらプレアは考え込んでいた。

「悪いね、ソニア。久しぶりに会ったってのに、こんな事つき合わせちまって。」
フェリアーテは申し訳なさそうに言った。
「いや、構わない。他に行きそうな所の心当たりは?」
ソニアは冷静に聞いた。
「そうだね。ヴィーナが一人でいればすぐに見つかりそうなものなんだけどねえ。誰かと一緒の可能性がありそうだね。」
「ふむ、そうすると一緒にいる人間の行動パターンを読みに入ったほうが良いね。誘拐の線も考えた方が良いかもね。」
あくまでも冷静にソニアは言った。
「一緒にいる人間・・・。誰かな・・・。」
フェリアーテは手を顎に当てて考え始めた。ソニアはその姿を腕を組みながら見ていた。


「ふにゃ〜あ。」
チャオは欠伸をしながら、ニュースを見続けていた。
「アカデミーの前からの中継です!怪我人は数名との事で、皆さん軽傷との事です。犯人はアカデミーから出たのか、潜伏中なのか未だ分かっておりません。ご近所の皆様は外出しない様にお願いします。」
「にゃんか・・・。凄い事になってるにゃ・・・。でも良く軽傷の怪我人だけで済んだものだにゃ。本当に運が良かったんだにゃ〜。」
チャオは中継を見ながら呟いていた。


「ったく。ヴィーナの奴泣き疲れてねてやがるし。」
ハオは抱えているヴィーナを見ながら愚痴った。
{さて、どうしたもんかな。アカデミーは出たものの行く当てがねえし・・・。}
「ハ・オ・様。」
「どわ〜。」
突然声をかけられたハオはびっくりして前につんのめったが、すぐに振り向いて声の主を確かめた。
「やっほ〜。」
そこにいたのはトロだった。
「何だ、トロか。」
相手がトロと分かるとつまらなそうにハオは言った。
「えらく、驚いていたね〜。うっしっし〜。って、あれ?抱えてるのってヴィーナちゃん?」
少し笑った後不思議そうにトロは言った。
「ああ、全く困った奴だ・・・。」
溜息混じりにハオは言った。
「ま、まさかハオ様・・・フェリーがいるのに・・・。まさか・・・そんな・・・。」
「まてw」
トロの言葉にハオはすぐにツッコンだ。
「ハオさん、トロさん、やほ〜。」
その時後ろから声がした。
「収集つかねえぞ・・・。」
ハオは少し疲れた口調で振り向かずに一言呟いた。
そんな中で、ヴィーナはバズーカをしっかりと抱えたまま眠っていた。