新しい道の始まり
チャオがアカデミーを辞めてから2年が経っていた。
霊園・・・
「久しぶりだにゃ。フレナ。」
チャオは一つの墓の前で目を細めていった。
「今日は報告に来たんだにゃ。その前に・・・フレナが好きなこのお花とお供え物にゃ。」
チャオはしゃがみ込んで墓前に花とお供えを置いた。そして、軽く手を合わせた。
「それでは、改めてだにゃ。いよいよ明日からあたしメディカルセンターの正看護婦として働く事になったにゃ。」
チャオはこの2年間の事を目を瞑って思い起こしながらゆっくり言った。
「フレナの後輩だにゃ。フレナ程気も利かないし、わからない事だらけだけど、でも、あたし頑張るにゃ。あの時貰った勇気、優しさは決して忘れないにゃ。フレナの分も一人でも多くの患者さんに尽くすにゃ。だから、見守っててにゃ。」
昔の事を思い出して少し涙ぐんでいた。
「うん?」
後ろから声がして、チャオは涙を拭いてから振り向いた。
「おお、チャオさん。」
「先生。あの時はお世話になりましたにゃ。これからも宜しくにゃ。」
相手は初めは頷いたが、後半部分で首を傾げていた。
「あ、にゃはは。あたし明日からメディカルセンターで正看護婦として働くんだにゃ。」
「それは、それは。」
「新人にゃんで、会った時には宜しくお願いしますにゃ。」
チャオは頭を下げた。
「ああ、わかったよ。」
医師はチャオをみて懐かしそうに言った。チャオは顔を上げて不思議そうに自分を見つめている相手を見ていた。
「ああ、ごめん。昔のフレナみたいだと思ってね。」
苦笑いしながら医師は答えた。
「フレナとは違うけど、あたしはあたしなりに精一杯頑張るにゃ。」
軽くガッツポーズをしてチャオは言った。
次の日・・・
「チャオ!5060の患者さんお願い!」
「分かったにゃ。」
婦長に言われてわたわたとチャオは5060に向かって走り出した。
「お、新人さんかい?」
「チャオだにゃ。宜しくお願いしますにゃ。」
チャオは廊下で会った患者に元気良く挨拶した。
「お、元気が良いね。がんばんなよ。」
「ありがとうございますにゃ。そちらも頑張ってにゃ。」
軽くウインクしてからその場を離れていった。
{フレナ。あたしこれから頑張るにゃ。一人でも多くの患者さんに夢と希望を持ってもらえるようにするにゃ。そして、自分の想いは決して諦めないにゃ。だから、見守っててにゃ。}
語尾に「にゃ」が付く元気な看護婦が有名になるのには、大して時間は掛からなかった。
「さあ、今日も元気に行ってみようにゃ〜♪」
今日もまたチャオの元気な声がメディカルセンターの中に響いていた。