ドラゴン探し珍道中

テムは知り合いがいないかキョロキョロ探していた。
ふと見るとハオの姿が目に入った。
「はおさん、やほ〜。」
すぐに近付いていって挨拶をした。
「ん?テムか。どうした?俺は子守りしてたからちょっと疲れてる。なんか面白い話か?」
「うふふ。ぢつわ、らぐおるのもりででんせつのどらごんがでるってききますた。」
ハオの子守りという所には全然ふれず楽しそうにテムは言った。
「伝説のドラゴン?なんだそりゃ?セントラルドームにいるって奴とは違うのか?」
ハオは不思議そうに聞いた。
「おういぇ〜♪もりにそのままでるらしいですぅ。」
テムの言葉に少し腕を組んで考えるハオ。
(さっきまでの子守りに比べりゃましか。)
テムはハオの周りをちょこまか走り回っていた。
「よし、行くか。で、二人だけか?」
「だめですかぁ?」
ハオの質問に立ち止まって覗きこみながら聞くテム。
「別に構わんさ。トロ辺りがいて変になっちまうのもあれだしな。」
「そうときまれば、いきまそぅ〜。」
そう言ってテムは転送装置に向かって走り出した。ハオはその後からゆっくりと歩いていった。


転送装置でラグオルの森に二人は降り立った。
「でだ、テムあてはあるのか?」
「うふふ。ないれす〜。」
ハオは無言でテムを捕まえてうめぼしを見舞った。
「あうぅ。いたいれすぅ〜。」
テムは頭を押さえてしゃがみ込んだ。
「ったく、しゃあねえとりあえず適当に歩くとするか。」
ハオはしゃがみ込んでいるテムを無視して歩き出した。
「はうぅ。おいていかないでぇ。」
テムはすぐにハオの後を追って走り出した。


「にしても、今日は妙に静かだな。敵も出やしねえ。」
ハオは不信そうに辺りを見渡している。
「そうですねぃ。これはもしかするともしかするかもぉ。」
テムはワクワクしながら嬉しそうに言う。
「伝説のドラゴンっつったってなあ。何が伝説何だか。」
ハオの言葉にはテムは首を傾げていた。
「まあ、出たら出たでなんとかなんだろ。」
「おういぇ〜♪」
テムは軽くガッツポーズをしながら答えた。
(実際は不安なんだが、口に出すのは止めとくか。)
ハオはちらっとテムの方を見てそう思ったが、テムの方は全然気にしていないようだった。


更に森の奥の方へ行くと焼け焦げた元の分からない消し炭がいくつも転がっていた。
「こいつは酷えな。伝説のかどうかはわからねえが、ドラゴンがいそうな雰囲気だな。」
ハオは厳しい表情になっていった。テムはその意見にコクコクと頷いた。
そこからは二人は用心しながら木陰に隠れたり、草むらに隠れたりしながら進んでいった。

ズズーーーーン!
ガシャーーーン!!!!

突然地響きがしたと思ったら凄まじい物の壊れる音がした。
「どうするテム?行くか?って待てw」
ハオが声をかけた時には既に先へ向かって走り始めていた。ハオは急いでテムの後を追った。
そして、二人が見たものはセントラルドームに開いた大きな穴と、首の無い20mくらいのドラゴンの死体だった。
「あわわぁ。はおさんくびがないですよぉ。」
流石に驚いているテムは少しあたふたしながらハオに言った。
「しかも、焦げてやがる・・・どういうこった?軍の兵器かなんかか???」
言われたハオも流石に目の前の現実には驚かずにはいられなかった。ただ、そう言った後腕を組んで少し考えていた。
(まてよ。でもなんでドラゴンの声は聞こえなかったんだ?それがわからねえ。)
テムは難しい顔をしているハオの顔を下から覗きこんでいた。

ズズーーーーン!!
ドカーーーーーン!!!!

すると、また地響きがした後今度は爆発音が鳴った。
「どうしまそぅ?」
興味半分恐さ半分といった表情でテムが言う。
「隠れながらいってみっか。」
「おういぇ〜♪」
二人は出来るだけ隠れながら音のした方へと歩き始めた。
暫く行くと消し炭と溶けた金属があった。
「軍の奴なのか・・・ハンターなのか見分けつかねえな。」
ハオは苦笑いしながら呟いた。
「はおさ〜ん。こっちこっちぃ。」
「ん?」
テムが勢い良く手招きしているのでハオはそちらへと歩いていった。
「で、でけえ!」
「でけぇ〜♪」
二人が見たのは20mはあろうかという足跡だった。
「おいおい、これって本体どんだけあるんだ?」
テムはハオの問いに眉をしかめながら首を傾げた。
(それにしても、こんだけ大きいものがいて、何で俺等は気がつかなかったんだ?遠くから見えても良さそうなもんだけどな?)
再びハオは腕を組んで思考モードに突入した。
「ほんとうにすっごくおおきいですねぃ。」
テムの方は、座りこんで足跡を眺めていた。

ズズーーーーーン!

さっきよりも大きな地響きがまた起こった。
「ん?さっきよりでけえな。」
ハオは考えるのを一旦止めた。ふと正面にいるテムが口をパクパクしているのを見て不思議に思った。
「何しとるんだ?テム?」
「あわわわわ。は、は、はおさん。う、うしろぉ。」
「ん?後ろって?」
テムの初めて見る凄まじい慌てぶりにハオは後ろを振り向いた。
「!!!!??」
ハオは声も出なかった。
振り向いた先にはとてつもなく大きなドラゴンが二人を見ていた。ゆうに、200m以上はあろうかという大きさだった。流石の二人もその場で硬直していた。